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江戸城前、江戸城ドームで世紀の大決戦!
「本物の月星頭巾軍団」VS「にせものの月星頭巾軍団」
令和の時代になって初めてのお正月、初日の出である西暦2020年、令和2年の年が明け人々は夏に半世紀ぶりにひらかれる東京オリンピックに胸をおどらせながら新しい年を迎えたのです。
これからおとずれるであろう過酷な1年に気づかぬようにお正月の三が日に平穏に過ぎて行ったのでした。
1月が終わり、2月・3月となり日に日に世の中は様変わりをして人類が未だかって味わったことのないような暗い、厳しい日々に突入していったのでした。
そして、ついに楽しみにしていた東京オリンピックも延期になり、暗い世相の日々が続いたのです。
そして7月になりそんな暗い世相を反映するような実に娯楽時代劇的なふざけた事件が起きたのです。
東京都内・某所に男1人、女2人の3人組の犯人たちが人質2人をとって立てこもったのです。
さっそく警視庁のパトカーが駆けつけ、犯人たちとの説得交渉が始まったのです。
ねばり強い交渉の末、犯人たちは次第に態度を軟化させ、次のような実にふざけた要求をつきつけてきたのです。
「我々3人は恥ずかしながら月星頭巾&月姫・星姫の大ファンだ。彼ら3人の衣装を着て力をもって彼ら3人と本気で戦いたいと長年夢見てきた。
彼ら3人の衣装・刀とその他の小道具を用意しろ!
江戸情緒あふれるすばらしい戦いの場を用意しろ!
月星頭巾軍団の3人は【本物】と書いたハチマキをして我々と戦ってもらう。
我々3人は【にせもの】と書いたハチマキをして【本物】の3人と徹底的に戦う。
この戦いで我々が負けたらすぐその場で我々3人を犯人として逮捕してくれ。
もし我々が勝ったら、本物の月星頭巾軍団を我々の代わりに犯人として逮捕してくれ。
このすばらしい戦いの模様をテレビ・カメラでばっちり撮影して実況生中継で全国に大々的に流してくれ。
さらに夜のニュースでもトップニュースで我々の強くて、かっこいいところを大々的に流してくれ。
もし、この要求が聞き入れなければ人質は絶対に返さない。」
警視庁はこんな前代未聞のふざけた要求に大変困惑し、さっそく月星頭巾軍団の営業権をもち、月星頭巾軍団の衣装・刀・小道具・映画撮影用のセットなどを管理している娯楽時代劇商会の代表に相談したのです。
すると代表は「何といっても人質の身の安全が最優先です。犯人たちの要求は娯楽時代劇的なふざけたものではありますが、この際超法規的措置としてやむを得ないと判断して要求に応じましょう。
本物の月星頭巾軍団が本気を出して戦えばこんな犯人たちなんかはものの10秒程で取り押さえられます。
でもそれでは面白くありません。テレビを見ている人たちもつまりません。
犯人たちも大好きな月星頭巾軍団の衣装を着て憧れの本物の月星頭巾軍団と戦うのですから、犯人たちにしてみれば生涯にももう二度とないほどのうれしいことなのですから、本物の月星頭巾軍団にも適当に手を抜いてもらって犯人たちが強くて手こずるふりもしてもらって、時には犯人たちに向かって「おぬしらもやるな。なかなか強いな」などというお褒めの言葉でもかけてやって、犯人たちにも目一杯うれしい思い出をつくりながら戦ってもらいましょう。
犯人逮捕にこんなことをしては不謹慎だと思う方もおられるかもしれませんが、とにかくこのホームページは娯楽時代劇なのですし犯人たちからの要求なのですからやむをません。
今は国民の方々もいろいろなストレスが溜まっているはずですから、これくらいの御愛嬌もまあいいでしょう。
国民の方々も喜んで見てくれると思います。
女子プロレス軍団・ドロップキック隊のナイズバデーのお姉ちゃんにもこの際、かっこよく派手にやってもらい場を盛り上げてもらいましょう。
戦う場所は62話のお話に出てくる「江戸城タワーランド」の中にある江戸城タワーの前の広場で、ここを第一会場として午後2時から実況生中継でやりましょう。そして江戸城ドームの野球場を第二会場として、夕方6時からナイター用の照明の中で江戸時代の「御用ちょうちん」などいろいろな昔風のイルミネーションをつかって楽しくやりましょう。
この2ヶ所で大々的にやりましょう。時代劇ファンの観客やヤジ馬もいっぱい集まってくるでしょうし、テレビの視聴率もグンと跳ね上がるでしょう。
さっそく犯人たちを全員「にせもの」の月星頭巾軍団の衣装を着せ早カゴに乗せて、江戸城タワーの前まで移動させましょう。」
それから関係者は目の回るような忙しさの中で、急ピッチでいろいろな準備にとりかかったのでした。
さっそくテレビ局や新聞社などに連絡し「ニュース速報」や「号外」が流されました。
21世紀の江戸の町は刻一刻と八百八町のすみからすみまで「本物の月星頭巾軍団」と「にせものの月星頭巾軍団」との日本の歴史始まって以来、初の「世紀の大決戦」に向けて熱気と興奮の渦が怒涛のようにヒートアップしていったのです。
さあ、すべての準備が整いました。
午後2時ちょうど、江戸城タワー前の広場において、溢れるほどの観衆とヤジ馬がかたずをのんで見守る中、各テレビ局のテレビカメラ、大勢のマスコミ・カメラマンがかまえる中、本物・にせもの両軍の月星頭巾軍団の6人の名剣士・迷剣士たち。
月姫・星姫ダンシングチーム、女子プロレス軍団・ドロップキック隊のお姉ちゃん、応援のチアガールのお姉ちゃん、そして総合司会の姉崎パン粉アナウンサー全員スタンバイ完了いたしました。
それではこれからは娯楽時代劇のニューアイドル、我らの姉崎パン粉アナウンサーの名調子に乗せて、娯楽時代劇テレビが全国の皆さんにお送りする緊急特番「21世紀風・チャンバラ王者決定戦・本物の月星頭巾軍団対にせものの月星頭巾軍団、世紀の大決戦!」を実況生中継でお送り致します。
さっそくカメラを決戦会場の江戸城タワー前、特設リングに切り換えましょう。それではパン粉ちゃん、張り切ってどうぞ。
「時は西暦2020年、令和2年7月17日 所は江戸の新名所・江戸城タワー前の特設リング、大観衆が見つめる中「カーン」。
第1ラウンドのゴングが鳴りました。さあ「戦闘開始」であります。本物の月星頭巾軍団VSにせものの月星頭巾軍団、大歓声とブラスバンドの勇壮な「軍艦マーチ」の演奏が流れる中、ついに世紀の大決戦・大激突であります。
「あっゴングと同時ににせものの軍団が3人がかりで本物の月星頭巾をターゲットにして一気に襲いかかりました。」本物の月星頭巾、かなり苦戦しております。
「あっさっそく女子プロレス軍団・ドロップキック隊が援軍にやってきました。凄まじいドロップキック、ドロップキック、ドロップキックの連発!連発!雨・アラシであります。」
本物の月星頭巾軍団の3人が「まだ本気でやるな、今のうちは好きなようにやらせておけ、手をぬけ、手をぬけ」とさかんに制しています。
集まった観衆・ヤジ馬たちも何を勘違いしたのか、プロ野球やJリーグ応援団きどりで本物の月星頭巾軍団がすばらしい剣術をみせ、攻勢をかけると絶叫し、花吹雪をまき散らし、ブラスバンドが「軍艦マーチ」を演奏したりとまるでスポーツ観戦さながらの応援となっているのです。
犯人のにせものの月星頭巾軍団3人も憧れの本物の月星頭巾軍団と戦えるうれしさに心と腕を振るわせながらも力の限り思い切り戦っています。
出場選手たちの万一のケガや急病に備え、江戸時代末期に開業した娯楽時代劇病院の救急隊「新選組」が会場内に緊急野戦病院を設置し、新選組の衣裳をつけ江戸時代風の医療機具や救急搬送用の早カゴなどを用意し万一に備えています。
又、同じ時期に開業した「娯楽時代劇薬品」も江戸時代末期に発売した日本最初の栄養ドリンク「月星頭巾ファイト!」のドリンク・デスペンサーを会場内に10ヶ所設置し、出場選手たちに提供しています。
会場のファンサービスも至れり尽くせりで観衆やヤジ馬たちに少しでも時代劇・チャンバラの情緒をリアルに味わいながら、観戦・応援してもらおうと、会場には時代劇の舞台や日光江戸村のように江戸情緒をかもしだす武家屋敷や城などの町並みをつくりそこで繰り広げられている本物・にせものの両軍の息づまる熱戦を会場に設けられた10台のワイドビジョンにアップで映し出し、観衆のボルテージは上がるいっぽうです。
両軍の激しい熱戦の脇では、娯楽時代劇商会の代表が月星頭巾の衣裳を着て「全力で戦え」「ここは手をぬけ」などと絶妙なブロックサインをだして、月星頭巾軍団と女子プロレス軍団ドロップキック隊に指示を与えています。
本物・にせもの両軍の息詰まる熱戦も2時間を過ぎ、時計の針は5時少し前となっていました。
会場にお越しの皆様・テレビの前でご観戦の皆様、3時間もの間「21世紀風・チャンバラ王者決定戦の前半戦」をご覧いただき誠にありがとうございました。これから出場の6人の剣士及びその他出場者全員は第2会場である江戸城ドームに移動し、夕方6時から再び決定戦が終了するまで後半戦を戦います。
お集まりの観客・ヤジ馬の皆さん、そしてテレビの前でご観戦の全国の皆さん、後半戦が始まります。夕方の6時までもうしばらくの間お待ち下さい。
皆様、長らくお待たせいたしました夕方6時となりました。
これからは会場を江戸城ドームのフィールドに移し、緊急特番、娯楽時代劇ニュース「熱戦の末、にせものの月星頭巾軍団ついに逮捕される」をお送り致します。
それでは後半戦の熱戦に先立ちまして、15分ほどのお時間をいただきまして後半戦のオープニングカーニバルを執り行います。
国家・君が代、行進曲の演奏そして、フィールド内の両軍の剣士・月姫・星姫ダンシングチーム、女子プロレス軍団ドロップキック隊のお姉ちゃんたち、観客席の大観衆全員総立ちによる「月星頭巾軍団行進曲」の大合唱となり、ボルテージは最高潮に高まりました。
「カーン」会場を第2会場・江戸城ドームに移し、第2ラウンド後半戦の戦闘開始であります。
再び両軍の激しい戦いが始まりました。
こちら江戸城ドームでは最新鋭の照明技術と会場内の10台のワイドビジョンなどの映像技術を目一杯駆使し最新鋭の劇場や映画館にいるような最高な気分を提供しています。
そして会場は和気あいあいのなごやかなムードの中、いよいよ最後の最大のクライマックスである犯人逮捕に向けて刻一刻と緊張が高まっていったのです。
前半戦、後半戦あわせて5時間にも及ぶ大熱戦の末、最後の最大のクライマックスである犯人逮捕に向けて本物の月星頭巾&月姫・星姫そして女子プロレス軍団ドロップキック隊は一気にギアをローギア(手加減モード)からトップギア(本気モード)に切り換え一気呵成に攻め立てたのです。
本物の月星頭巾軍団が本気をだして攻め立てたら3人の犯人なんてひとたまりもありません。最後はあっけなく捕らえられ手錠ではなく時代劇風に縄で縛られたのでした。
逮捕の瞬間、各テレビ局は一斉にニュース速報を流し各新聞社も一斉に号外を流し、21世紀の江戸の町は本物の月星頭巾軍団の大手柄に喜び、まさに月星頭巾祭と化したのでした。
逮捕された直後、犯人はまたまた訳のわからないわがままを言って警察官を困らせたのです。
「時代劇らしくパトカーではなく早カゴにのって奉行所に連行されたい」警察官はあきれながらもしょうがないと諦めて早カゴを用意し時代劇用のカツラと着物をつけてカゴを担いで犯人を奉行所まで連行したのでした。
このテレビ中継とニュースを見た時代劇のあまり好きでない東京都の大池都知々(とちち)は「ふざけた番組だ」と激怒しておられたと伝えられております。
犯人たちは逮捕された後、署に連行され取り調べの際「大好きだったあこがれの月星頭巾軍団の衣裳をつけて刀を持って大観衆の前で本物の月星頭巾軍団と戦え生涯最高の思い出ができました。この御恩は生涯忘れません。いろいろと取り計らってくださった娯楽時代劇商会の代表にもよろしくお伝え下さい。」と喜びの言葉を取り調べ官に語ったのでした。
犯人逮捕後、娯楽時代劇商会の代表は警視庁の人たちにこんなことを語ったのです。
「私が今回のチャンバラを見た限り、犯人たちは剣術もかなりうまく将来娯楽時代劇の役者になる素質もあるようですから、彼らが刑に服し出所したら私が引き取らせていただきます。私が娯楽時代劇の役者として剣術はもちろんいろいろな親父ギャグなども教えます。立派に更生させ、将来は娯楽時代劇の役者として今回と同じ「にせものの月星頭巾軍団」の役柄で出演させますから、警視庁の皆さんもたまには見に来てやって下さい。」
警視庁の人たちもこの風変りな人情話を聞き、目頭を熱くしホロリとしたのでした。
後日、月星頭巾軍団の3人と娯楽時代劇商会の代表は家康・千姫の二人から御殿に招かれ、「この話のテレビを見ていたらジーンとして涙がこぼれたよ。よくやった。」とお褒めの言葉を賜ったのでした。