ネット小説サイト「娯楽・SF時代劇絵巻　月星頭巾&月姫・星姫」 | 「月光・星空・恋頭巾」などのネット小説を掲載中

面白い小説には「これってどうなんだろう？」「あの時このキャラクターがこうしていたら？」といった、読者の想像の余白があるものです。

「月光・星空・恋頭巾」を読んでいてどうしても気になり「これはツッコミの余白ありすぎ！」と思ったこと…それが「三億両事件」です。この小説がファンタジーSFギャグ小説という属性を付与されすぎの面白い小説ということを抜きにしても、思わずおすすめしたくなるツッコミどころが多すぎます。

そこで、実際の元ネタとなった「三億円事件」にも触れつつ、三億両事件を徹底検証します！

事件が発生したのは、1968年12月10日、年の暮がせまる日の午前9時20分頃のことです。

被害にあったのは、東芝府中工場のボーナスを乗せた日本信託銀行の現金輸送車。「車にダイナマイトが仕掛けられている」などと言って現金輸送車を止めた偽白バイ警官が、車の下に潜り込んで発煙筒を使用。爆発を偽装して銀行員を車から遠ざけた後、その車を運転して逃走した…というのが大まかな経緯です。

犯人のモンタージュ写真が精密につくられているにもかかわらず、7年後の1975年に公訴時効成立、20年後の1988年に民事での時効成立に至りました。

昭和の未解決事件として史上最も有名な事件であり、犯行時間およそ3分、負傷者ゼロの緻密すぎる犯罪として知られています。また、この事件を題材にした面白い小説やドラマ、ネットでの検証サイトもたくさんあります。

「三億両事件」は月星頭巾唯一の未解決事件ですが、実際に実行可能な事件なのかどうか、まずは重さの面から考えてみましょう。まず、盗まれたのが1両小判、平均の重さを10グラムと仮定します。
※一般に大判は110～160グラム程度、小判は3～15グラム程度

そう考えると、犯人は平均の重さが10グラム程度の小判3億（枚）を持って、尾張・三河方面に逃走したことになります。

• ・3億枚　×　10グラム　＝30億グラム＝300万キログラム＝3000トン

3000トン…なんだか想像がつきませんが、想像しやすいものに例えて考えてみましょう。

• ・大人のクロサイ1頭の平均的な体重が1トン
• ・アフリカゾウの大人（オス）の平均体重が6トン

つまり、3億両はアフリカゾウ500頭、クロサイ3000頭の群れと匹敵する重さになります。東海道を疾走するアフリカゾウのオス500頭、もしくは、クロサイ3000頭の群れ…いや面白い小説のはずなのに怖すぎ（笑）。

また、大きさの面からも検討してみましょう。千両箱の大きさですが、一般的に知られているものは奥行約15センチメートル、幅約40センチメートル、高さ約13センチメートルのサイズです。1箱にきっかり1,000両入るとして、3億両を千両箱につめていくと、なんと30万もの千両箱が必要という計算になります。箱を積み上げていくと39キロメートル、横に並べていくと120キロメートルにも及ぶのです。重さと同様、わかりやすく例えてみると…

• ・地上から39キロメートル上空は成層圏の範囲内（アメリカ空軍は上空80キロメートルから宇宙と定義）
• ・21万5000箱積み上げたあたりにオゾン層がある
• ・ドーバー海峡が直線距離で約30キロメートルだから2往復分程度

とりあえずツッコミどころとしては…「犯人グループ何人いたんだよ！」